多くの飲食店で導入している飲み放題メニュー。何杯飲んでも一律料金、幹事が計算しやすいなどお客様にとってメリットがたくさんあるメニューですが、皆さんは飲み放題メニューを定期的に見直していますか?
通常メニューは定期的に見直しているけど、飲み放題メニューの見直しには手が回っていないというお店も多いのではないでしょうか。
飲食店のトレンドは日々変化しています。それは飲み放題メニューも同じです。最近ではプレミアムな飲み放題や、全国の地酒を飲める飲み放題など、同じ飲み放題でもそれぞれの特色を出すお店が増えてきました。
飲み放題メニューは飲食店にとって経営の要となり得る非常に大事な要素です。定期的に見直すことで、お客様のハートをガッチリ掴みましょう。
飲み放題メニューの重要性
まずは、飲み放題メニューがなぜ飲食店にとって重要なのかを改めて確認しましょう。飲み放題メニューが重要な理由としては、大きく分けると次の4つを挙げることができます。
(1)一定の売り上げが担保される
飲み放題の大きな利点の一つが、人数分のまとまった売上を確保できることです。次のオーダーを促したりせずとも、オーダーされた時点で一定の売上が担保されますので、お店としては安定した数字を見込むことができます。人数が多い場合などは、あまり飲まないお客様からも一定の売上を獲得できますので、利益を出しやすいメニューだと言えます。
(2)お店選びに大きく影響する
大手ビールメーカーが行った調査によると、飲み放題の内容がお店選びに影響すると答えた人は全体の約6割以上であることがわかっています。お客様の関心が高いメニューであることが伺えます。
(3)利益が出しやすい!
飲み放題にするとお客様は何杯でも注文できてしまうため、お店側の利益が上がりにくいのではないかと思われがちです。しかしそうではありません。実は飲み放題は利益が出しやすいメニューなのです。
以下の図をご覧ください。
飲み放題でのオーダーは平均4.5杯程度。飲み放題を一人1,500円、単品での注文数を2.5杯だと仮定すると、通常オーダーに比べて売上で300円、粗利で165円向上している計算になります。もちろんこれはあくまでもシミュレーションです。これを実現するためにも後述の原価や低オペレーションを意識しなければなりません。
このように、飲食店にとって飲み放題メニューがあることは、とても重要です。
そんなメリット満載の「飲み放題メニュー」も、内容が更新されなかったり、他店と代わり映えの無いメニューだったりすると、お客様に飽きられてしまいかねません。そうした事態を防ぐため、定期的な見直しが必要になるのです。
飲み放題メニューのポイント
では、飲み放題メニューを見直すためのポイントは、どのような点なのでしょうか?
飲み放題メニューを考える上で重要になるのは、以下の4つのポイントです。
(1)バリエーション
(2)低原価商材
(3)低オペレーション
(4)季節もの
(1)バリエーション
なんと言っても、バリエーションは重要です。定番カテゴリーを網羅するのはもちろんのこと、お店独自の強みをつくることで他店との差別化を図りましょう。
ビール、サワー(酎ハイ)、ハイボール、焼酎、日本酒、果実酒、カクテル、ワイン、ソフトドリンク、などのカテゴリーの幅に加えて、それぞれのカテゴリーの中でもバリエーションを増やすのがポイントです。
カテゴリーごとのバリエーションアップ法
・ビール
通常の生ビールだけでなく、プレミアムビールやクラフトビールのついたプレミアムなプランを作ることで、他店と差別化し、客単価を上げることができます。ビールベースのカクテルやノンアルコールビールを加えてバリエーションに幅をもたせることも可能です。
・サワー(酎ハイ)、カクテル
定番をしっかり網羅しつつ、人気の商品をベースにバリエーションを増やしてみましょう。昨今人気のレモンサワーであれば、冷凍レモンを使う、酸っぱいレモンサワー、生搾りをメニューに入れて魅力付けするのもいいでしょう。ベースがあれば、バリエーションを増やしやすいカテゴリーですので積極的に取り組みましょう。
・焼酎
定番の芋、麦、米だけでなく、しそ焼酎や蕎麦焼酎などを追加するのもいいでしょう。また、お湯割り、ソーダ割りなど、割り方のバリエーションを増やすことも簡単に取り組むことができ、魅力も上がります。
・日本酒
有名銘柄やこだわりの地酒などが飲めるプランを追加することで顧客単価を向上させることができます。飲み放題でよく見る安価なものだけでなく、時期によって飲める銘柄を変えるなどの工夫で更に魅力付けすることもできます。
・ワイン
赤・白・スパークリングそれぞれのラインナップを用意しましょう。産地や品種を増やす、合う料理が分かるように記載しておく、といった工夫でより効果的になります。ワインベースのカクテルを用意するのもいいでしょう。
・ソフトドリンク、ノンアルコールドリンク
お酒を飲まない方は「損をした」と思われかねないが飲み放題。お酒を飲まない方にもしっかり満足していただけるメニュー構成を心がけましょう。定番のドリンクを用意するのはもちろんのこと、ノンアルコールでお酒気分を楽しめるモクテルをメニューに入れておけば、お酒を飲めない人にも楽しんでいただけるようになります。
(2)低原価
飲み放題メニューを作るときは、原価をしっかり計算してメニューを考えましょう。
例えば、ビールはファーストオーダー率が高いですが、他のドリンクメニューに比べると原価率が高いドリンクです。そのため、売上を上げるためには、ファーストオーダーのビールから、いかにして原価率の低い別のカテゴリーに誘導できるかを考える必要があります。
サワー(酎ハイ)やハイボールは、原価を抑えやすいメニューです。そのため、サワー(酎ハイ)やハイボールのバリエーションを豊富にすることで利益を上げやすくなります。
お店独自のサワーや、他のお店では楽しめない一味違ったハイボールを用意するといいでしょう。
原価を気にするあまり、味や質を損ねてしまうのではと思うかも知れませんが、原価が低くても美味しいお酒はたくさんあります。何を選べばいいか分からない場合は、酒屋さんに相談するのもいいでしょう。
(3)低オペレーション
飲み放題メニューにおいては、オペレーションコストを低くすることも重要です。料金が決まっている中で利益を最大化するためには、スタッフがいかに効率的に仕事を回せるかが大事になってきます。
オペレーションコストが高く、オーダーから提供までに時間がかかってしまうと、お店の利益だけでなくお客様の満足度まで損ねてしまい、飲み放題のメリットが半減してしまいます。低オペレーションで高満足を意識し、リピートを促進しましょう。
(4)季節ものを取り入れる
季節感のあるメニューや季節のイベントを意識したメニューなどを新たに飲み放題メニューに加えることで、お客様への印象を変えることができます。季節感を出すだけで魅力をアップさせることができるのでお勧めです。サワーに旬の果物を取り入れる、夏にはフローズンサワーを取り入れるなど、比較的簡単に取り組むことができますので是非取り入れましょう。その他にも、忘新年会などの宴会シーズンにはスパークリングワインの需要が高まるため充実させておく、といった気遣いで満足度を向上させることができます。
お花見、七夕、ハロウィン、クリスマス、お店の周年記念など、さまざまな機会にメニューの見直しをするといいでしょう。
まとめ
今回は飲み放題メニュー見直しのポイントについて考えました。
飲み放題は飲食店経営にとって非常に重要な要素ですが、常に変化する世の中のトレンドや客様のニーズに応えるためには、定期的なメニューの見直しが必須となります。
飲み放題メニューがあるから安心と考えずに、定期的にメニューの見直しをして、さらなる利益率アップを目指していきましょう。