ドリンクメニュー見直しのポイント

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飲食店にとって、ドリンクメニューはとても重要であり、経営安定の鍵を握っているといっても過言ではありません。しかし、ドリンクメニューを常に魅力的なものとして売り出していかなければ、利益向上にはつながりません。飲食店を魅力的なお店にするためには、定期的にドリンクメニューを見直す必要があります。

そこで今回は、ドリンクメニューの見直しについて紹介します。ドリンクメニュー見直しがなぜ重要なのか、見直しのポイントやトレンドについて考えていきましょう。

なぜドリンクメニューの見直しが重要なのか

ドリンクメニューの見直しは、なぜ重要なのでしょうか?

まず、ドリンクメニューの重要性が高い理由は、原価率が低い、オペレーションコストが低い、顧客体験価値が高いという点が挙げられます。ドリンクメニューは利益率向上に繋がりやすいのです(詳しくは、「いまさら聞けない!?飲食店におけるドリンクの重要性」を参照)。
ドリンクメニューは一度変えたら終わりではなく、定期的な見直しが必要です。その理由としては以下の2点が挙げられます。

  • トレンドを取り入れないと顧客体験価値が下がる。
  • コロナの影響もあり、トレンドが目まぐるしく変化している。

順番に見ていきましょう。

(1)トレンドを取り入れないと顧客体験価値が下がる。

ドリンクメニューは、改良を重ねることで顧客体験価値(お客様が商品やサービスを体験したときに感じる価値)の高い商品になります。しかし、改良を怠ることでお客様の満足を得られない商品になってしまったら、顧客体験価値は下がってしまいます。

とりわけ、ドリンクメニューはトレンドの影響を受けやすいため、トレンドに合わせて見直しをしていかないと顧客体験価値を高く保つことができません。
例えば、タピオカが流行していて、隣の店でタピオカミルクティーを売っているのに、自分の店でいつまでも普通のミルクティーを売っていたら、お客様は隣の店に流れていってしまうかもしれませんよね。

世の中のトレンドをキャッチして、機敏に対応していく必要があるのです。例に上げたタピオカも、またたく間に広まりそして終息していったのを考えるとわかりやすいと思います。

(2)コロナの影響もあり、トレンドが目まぐるしく変化しているから。

さらに、コロナ禍でトレンドが目まぐるしく変化している点も考慮しなければなりません。
たとえば飲食店でアルコールの提供が制限されていることから、最近はノンアルコールドリンクの需要が高まっています。コロナ禍でこれからどのようなトレンドが生まれてくるかは分かりませんが、これまでとは異なる新しいトレンドが生まれる可能性は大きいと言えるでしょう。

このように、ドリンクメニューは、もともとトレンドの影響を受けやすい上に、現在はコロナ禍でトレンドが変化しやすい状況にあるため、定期的に見直しをして、トレンドに合ったものを提供する必要があるのです。

メニューを変えれば売り上げも変わる

メニューを変える際に注目すべきは、原価とオペレーションコストです。

原価とは、その商品の材料にかかる費用です。また、オペレーションコストとは、その商品を作る上でかかるスタッフの作業工数のことです(詳しくは「いまさら聞けない!?飲食店におけるドリンクの重要性」を参照)。

メニューが違えば原価もオペレーションコストも違ってくるので、メニュー見直しの際は原価が上がらないか、オペレーションコストが増えないか、しっかりと見極めながらメニューを考えましょう。
値段の高い材料を使えば、原価率が上がるので利益率は下がります。そうすると、それまでと同じだけの利益を出すためには、それまでよりも多くの商品を売らなければなりません。また、作るのに手間のかかる新商品を開発すれば、オペレーションコストは上がります。

また、ターゲット層をしっかり見極めて、どんな客層の方がどのくらいメニューを注文するかという出数構成比を出しましょう。出数構成比のコントロールができれば、注力して販売すべきものが明確になるので売上アップになると共に、余計な仕入れをする必要がないので原価ダウンにも繋がります。

数字から見直そう

原価率(原価の値段の比率)、売上(商品を売って得られた額)、出数(商品の売れた数)といった数字を見直すことも、利益向上のためには重要です。

例えば、原価率の高いものばかりの出数が多くても、利益率は上がらないので、見かけ上、売上は上がっていても、数字に見えるほどの利益にはなっていないという可能性があります。また、客層と合わせて出数を確認することで、設定したターゲット層に売りたいものが届いているかどうかが分かります。

お客様の注文状況から見直そう

お客様の注文状況からも多くの情報が読み取れます。例えば、10代をターゲットにして開発したドリンクを全く10代が購入しておらず、50代が購入していたとすれば、その理由を考える必要があります。もしかすると、10代にとっては、そのトレンドは古過ぎるのかもしれませんが、50代にとっては、ひと世代前の懐かしいトレンドということなのかもしれません。設定していたターゲットがメニューを頼んでくれているか、しっかりチェックしましょう。

他にも、何杯目に頼んでいるか、おかわりされているか、といったポイントも重要です。例えば、一杯目に注文してほしいメニューがあったら、その通り一杯目の注文になっているか。もしなっていなければお客様にとって「一杯目」のドリンクとしての魅力に欠けている可能瀬があります。中盤で繰り返し飲んでほしいもの、締めの一杯など、それぞれ期待通りの動きになっているか確認し、想定と違っている場合にはメニューを見直しましょう。

スタッフの声から見直そう

ドリンクメニューを見直す際、スタッフの声を真摯に受け止めることも重要です。現場で働いているスタッフは、お客様の一番近くでお客様の反応を見ています。お客様からもらった質問や感想、クレームも含めて、全てメニュー改善のための貴重なヒントとなります。スタッフからお客様からのご要望や改善のポイントを吸い上げましょう。

加えて、実際にお客様にお伝えしてお勧めしやすいか、お勧めした客様は注文してくれているか、などもチェックしましょう。

また、スタッフにオペレーションに関する状況を確認するのも良いでしょう。「あの商品は作るのに時間がかかる」「このメニューは簡単に作れて、しかもよく出ている」「こうやったら早く作れた」など、様々な意見が聞けるはずです。

例えば、商品提供までの工程でスタッフに負担がかかるものがあれば、それは不要なオペレーションコストがかかっているということなので改善しなければなりません。逆に少ない労力で効率的に提供できているメニューがあれば、その商品の販売を強化することで利益率が上がります。

トレンドとどう向き合うか

ドリンクメニューを見直す際には、トレンドを知る必要がありますが、最新のトレンドを知って商品に反映するためには研究が必要です。SNSで積極的に情報収集をすることも、トレンドを知って商品に反映するためには重要です。

また、ドリンクメニューを見直して新商品を入れる際には、自店舗の人気動向=トレンドも見極めながら判断してください。出数の少ない商品はメニューを入れ替えることも必要になります。常にフレッシュなメニュー構成となるよう、トレンドには気を配ってくださいね。

フードメニューとの関係をどう考えるか

ドリンクメニューを見直す際には、フードメニューとの関係について考えることも重要です。例えば、刺身料理をたくさん提供している飲食店で、ドリンクメニューがワインばかりだと、ドリンクの注文は増えるでしょうか。一般的に考えれば、刺身料理が多いのであれば、日本酒をメニューに入れた方が良いと考えられます。

このように、ドリンクメニューを見直す際にはドリンクのみで考えるのではなく、お店で提供しているフードメニューに合うドリンクは何かという観点で考える必要があります。そのお店のフードメニューと合うドリンクメニューを開発することができれば、間違いなく売上向上につながるでしょう。

まとめ

今回は、なぜドリンクメニューの見直しが重要なのか、メニューを変えるとどうなるのか、売り上げにまつわる数字は何を表しているか、ターゲット層についてどのように考えれば良いか、スタッフの声をどのように受け止めるか、トレンドとどう向き合うか、フードメニューとの関係をどうとらえるか、ということについて考えていきました。 ドリンクメニューを見直すために大切なポイントについて、ご理解いただけたなら幸いです。