【いまさら聞けない】ひやおろしって何?

お酒の知識

暦の上では、2021年は本日の8月7日(土)から秋だそうです。
二十四気の一つ『立秋』です。


では、ここで大好きなWikipediaより『立秋』を。

夏が極まり秋の気配が立ち始める日。 夏至と秋分の中間で、昼夜の長短を基準に季節を区分する場合、この日から立冬の前日までが秋となる。二十四節気が成立した中国内陸部は大陸性気候のためこの時期は気温が下がり始めているが、海に囲まれた日本列島ではピークがずれ込み猛暑の時期となることが多い。立秋からの暑さを「残暑」といい、手紙や文書等の時候の挨拶などで用いられる。また、この日から暑中見舞いではなく残暑見舞いを出すことになる。

ということで、まだまだ暑さはおさまらず、気候的には夏本番を迎えました。

…が!! 日本酒界の季節の動きは早く、今年ももうすでに秋のお酒がリリースされております。

年々早くなっている気もします…。『ひやおろし』の登場です。

今回は、そんな『ひやおろし』とは何なのかをご紹介してまいります。

ひやおろしとは

ひやおろしは『冷卸し』とも書かれ、冬から春にかけて搾った新酒を、ひと夏越えて秋まで貯蔵してから出荷するお酒のことを表しています。
また『秋あがり』とも呼ばれており、この表現については統一されていません。

日本酒は多くの場合、①貯蔵前と②出荷前に『火入れ』と呼ばれる加熱処理を二回行います。
火入れにより品質が安定し、長期保存が可能になります。

「では、ひやおろしは…?」
春に一回目の火入れを行って貯蔵し、二回目の出荷前の火入れはしません。この状態を『生詰め』や『ひや』と呼びます。

『ひや』のお酒を、秋になってから『おろす(卸す)』ので、『ひやおろし』と名付けられているのです。

安定した品質でお酒を貯蔵するために一回目の火入れを行います。蔵元で適切に熟した、そのお酒のバランスを保つために二回目の火入れは行いません。

搾ったばかりの荒々しい新酒も、落ち着かせることでグッと深みを増します。涼しい蔵の中で熟成が進むにつれて、穏やかで落ち着いた香りになり、味わいの成分も馴染み、旨みを帯びた滑らかな口あたりに変化していきます。まさに、旨みののった秋の食材にピッタリな適熟した味わいのお酒が誕生するのです。

いくら何でも早すぎない!?

暦の上では秋ですが気候的には真夏。秋のお酒なのに出荷時期が早い…というより早すぎる!と思われる方も多いはず。

しかし、ひやおろしと一括りにしても、8月から11月頃まで次々とリリースされていきますので、夏頃に出荷した銘柄と、晩秋を迎えてから出荷する銘柄とでは、あきらかに熟成感が変わってくるのです。8月から9月にかけては、落ち着いた酒質ながらもハツラツとした印象が残る味わいを楽しめます。10月、11月と秋が深まるにつれて熟成感はアップし、旨味も増えていきます。

目指す味わいにより各蔵元の出荷時期も異なるので、様々な熟成感が楽しめることもこの時期ならではの醍醐味です。

また、瓶の中でも緩やかに熟成は進み、じんわりと味わいを深めていきます。数ヵ月でもここまで変化するのかと感じることもあります。

同じ銘柄の熟成を追いかけて飲むのも、ひやおろしの時季ならではの楽しみ方です。

味わい方も色々

生詰め酒らしい爽やかな味わいを楽しむ時は、しっかり冷やした状態で。トロリとした口当たりと繊細な味わいのバランスがくっきりとします。また、日本酒度の高いひやおろしであれば、氷を入れたロックスタイルもオススメです。

秋の深まりとともに、魚ならサンマ、戻りガツオ、ブリ、より濃厚な味わいになっていき、茸や果実などの食材も豊富になります。それと呼応するように熟成感を増していくひやおろし。ひと夏越えた旨みやまろやかさは、お燗にすることで本領を発揮します。40℃くらいのぬる燗が最高です。ふくらみを増したコクのある味わいが、実りの季節の脂の乗った食材たちにピッタリです。

まとめ

日本酒は、一年を通して呼び名や味わいも変わる四季折々の表情が楽しめるお酒です。

『ひやおろし』と名付けられていても、銘柄や出荷された時期により味わいは少しずつ変化するので、飲食店さんなどで見かけたら色々な種類を試していただきたいです。

もちろん、吉田酒店にも色々なひやおろしが入荷予定です。

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