その温度で正解!? ワインの適温とは

お酒の知識

飲み物や食べ物は、温度次第で味わいの印象が変わります。
よく「赤ワインは常温で、白ワインはよく冷やして」と言われていますが、その常温とは何度くらいなのでしょうか?
常温というのは、季節や住んでいる地域によっても変わりますし、もっといえば、その部屋の温度次第で変わります。
そこで今回は、そんな「ワインと温度」の関係を掘り下げていこうと思います。

日本の蒸し暑い夏ならば、赤ワインを冷やして飲みたい時もあるはずです。
ワインの種類や、その時と場合よっての異なる適温を知ることが大切です。

温度による味わいの感じ方

ワインの温度が1.5度変われば、ほとんどの人がその味の違いに気づくそうです。

1.5度という温度は、ワインをグラスに注いでから10分ほどで変化する範囲の温度です。
1.5度で味が変わるのですから「10度で飲むとおいしい」といわれているワインを6度で飲んでいたとしたら、そのワインを100%楽しみきれていないはずです。

ワインは様々な香りと味わいを楽しめるお酒なので、温度からの影響を強く受けます。ワインの味わいにおいては、甘味・酸味・渋味のバランスはとても重要です。

◆温度を下げた場合の味わいの変化
・渋みが強くなる(赤ワインの場合)
・渋みが強くなる(赤ワインの場合)
・えぐみが出る(白ワインの場合)
・香りを感じにくくなる
・スッキリとした味わいになる
◆温度を上げた時の味わいの変化
・味わいがまろやかになる
・アルコール感を感じやすくなる
・香りを感じやすくなる
・酸味を感じにくくなる

人間の味覚というのは不思議なもので、温度によって同じ飲み物でも違う味わいに感じられます。
例えばですが、スポーツドリンクなどの清涼飲料水。キリッと冷えているとゴクゴク美味しく飲めるのに、ぬるくなると甘みが強くて飲みにくい…という経験はありませんか?

ワインの場合も、低い温度ではスッキリとした味わいを感じやすくなり、温度が高いと甘味以外にもアルコールや、後味のコクも感じやすくなります。温度を下げる・上げるで、ワインの持つ個性を際立たせることができますが、注意しなければならないこともあります。ワインの味わいには酸味や甘味の他に、渋みもあるのです。
渋みは温度を下げることで強く感じる場合があります。果実味と香りと渋みが強い赤ワインを、白ワインのように冷やして飲むとより渋みが増します。さらに果実味と香りは弱くなり、ただ渋いだけの赤ワインになってしまいます。

それぞれの適温とは?

様々なタイプのワインを飲む際に”美味しく感じられるであろう”というだいたいの温度が決まっています。
全てに当てはまるわけではありませんが、目安として以下の温度をそれぞれ参考にしていただくと、そのワインのポテンシャルを引き出すことができます。

スパークリングワイン6~8度
白ワイン(甘口)6~8度
白ワイン(辛口)10度前後
赤ワイン(ライトボディ)  12~14度
赤ワイン(フルボディ)16~20度

一般的には、ぬるいスパークリングワインよりも、冷えたスパークリングワインが美味しく感じます。
スパークリングワインは6℃から8℃くらいが適温とされていて、温度をやや低めにすることで、爽やかな酸味とスッキリとした印象を与えます。ただ、シャンパーニュのような香りや味わいに複雑性のあるタイプは、冷やし過ぎずに12度前後の方が果実味や余韻を長く楽しむことができます。
また、温度が高い状態だとボトルの中のガスが膨張して、炭酸が抜けやすくなります。風味や香りも損なわれてしまったり、コルクの抜栓時に勢いよく中身が噴き出してしまうこともあるので、注意しましょう。

白ワインは冷やしたほうが引き締まった印象になります。フレッシュな味わいが強調され、飲みやすく感じますが、キンキンに冷やしすぎると白ワイン独特の風味や香りが損なわれてしまいます。たとえば、樽の風味や後味にコクのある白ワインであれば、10℃から14℃が適温で、酸味の強い白ワインであれば6℃から8℃が適温とされています。

甘口タイプか辛口タイプかで考えると、甘口タイプの白ワインほど低温のほうがおいしく感じられます。甘口のワインは造り方の由来で果糖を多く含んでいます。フルーツを冷蔵庫で冷やすと甘味を感じやすくなることと一緒で、果糖の性質上、低温のほうが甘みを感じやすくなるからです。

赤ワインを飲む際の適温は14~18℃くらいです。他のワインと比べて高めの設定です。ワインの中には、香りや味わいに大きな影響を与える様々な成分があります。その成分はブドウの果皮に由来することが多いので、白ワインと比べると赤ワインに多く含まれているのです。抜栓され、ワインが空気と触れることで香りが徐々に開き、同時にワインの温度が上がるに連れて、味わいにも様々な表情が浮かんできます。

高めの温度設定にされている理由は、赤ワインが潜在的に持っている香りや味わいの成分を引きだしやすいからです。また、黒ぶどうの皮にはタンニンが含まれています。タンニンは、比較的高めの温度の方が”まろやか”に感じられ、低めの温度では“渋み”として認識されやすい性質があります。赤ワインを冷やして飲んだ時にただ渋いだけのワインに感じてしまうのは、これらの理由から味わいのバランスが崩れてしまうからです。

逆にこのことを利用すれば、飲んだワインの味わいがイメージと合わない場合は、温度を変えてみることで飲みやすくなるかもしれません。酸味や渋みを少なくしてまろやかにしたい時は、グラスを手で温めて温度を上げてみましょう。赤ワインを冷やしてスッキリと飲みたい時は、もともとのタンニンや果実味のボリュームが少ない銘柄を選んでみたり、グラスを少し冷やしてから注いでみましょう。温度から好みの味わいの調節をすることもできます。

サービスと温度

お客様にワインを提供する時、最も意識すべきことの一つはワインの温度管理です。

保管しているワインやセラーの温度ももちろん大切ですが、この場合の温度管理とは、お客様に提供する時のワインの温度、提供した後のワインの温度のことです。

”保存温度”は一般的に12~15℃が良いとされています。しかし”提供温度”というお客様に飲んでいただく時の温度は、ワインによって異なってきます。

例えばワインをボトルで注文していただいた場合、ゆっくりと楽しまれるお客様であればグラスに入っているワインの温度が上昇してしまうことがあります。また、料理によっては、より低い温度でお飲みいただきたい時もあります。

あらかじめそのワインの適温を意識した上で、お客様の好みや、料理とのタイミングを予想し、グラスに注いだ時にイメージした温度に近づけ、ワインの香りや味わいが広がるように調節します。

私自身、ボトルそのものを瞬間的に冷蔵庫やワインクーラーに入れて冷やしたこともあります。また、あえて低めに温度設定したセラーに入れておき、料理とのタイミングをみてグラスワインをお出しすることもありました。徐々に温度が上がっていき、料理と一緒に合わせる時に適温になることを考えながらサービスするのです。

ボトルワインでの提供時は、お客様のグラス内のワインが少なくなり、温度が上がってきたかなと思ったときは、冷やしておいたボトルのワインを注ぎ足してグラス内のワインの温度を下げて適温を保つということもできます。また、お料理に合わせて「温度を上げた状態で飲んでいただきたいな」と思ったときは、少し大きめなグラスを別で用意し、温度を上げながら香りや味わいを広げる調節もできます。

ただ、この注ぎ足しや、香りや味わいの調節に関しては注意が必要です。

グラスの中のワインが、”なくなるまで注いではいけない”というお客様もいらっしゃいますし、”ゆっくりとワインの変化を楽しみたい”という方もいらっしゃいます。
常に全てのお客様に対して、理想的な温度でサービスできるわけではありませんが、その理想を意識しながら最善を尽くしていくことが大切です。

TPOで適温は変わります!

ワインの適温というのは、求めればキリがないほど難しいです。しかし、感覚的に身体が「美味しい」と感じる温度帯というものはあります。

その時と場合の適温を飲むことで、ワインの持つ個性をじっくりと味わうことができ、温度の事を少し意識することで、楽しみ方や提案のバリエーションが増えてきます。