何が書いてあるの?ワインラベルの読み方のコツを知ろう!

ワイン

ワインを仕入れる際、何を基準に選んでいますか?酒屋さんに全ておまかせしていた、ラベルのデザインだけで購入を決めていた、という人も多いのではないでしょうか。プロである酒屋さんにおまかせするのも一つの手段ではありますが、しっかりご自身でワイン選定できるようになることも大切です。その一歩としてまずは、ワインのラベルを読めるようになる事をおすすめします。ラベルにはそのワインがどのようなワインかを知るための手がかりが記載されています。ラベルの読み方を知っていれば仕入れの際に活かすのはもちろん、お客さまにワインを勧める際にも情報を提供できるようになります。今回は、ラベルの読み方のコツを紹介します。

ワインラベルとエチケット

ワインのボトルに貼られたシールのことを一般的にはラベルと言います。ワイン業界の人やソムリエ、ワイン通の人はこのラベルを「エチケット」と表現します。ラベルとエチケットは言い方が異なるだけで、どちらも同じものを指します。ワインの本場フランスでエチケットと呼ぶため、ワイン業界の人はそれにならってエチケットと言う場合が多いというだけなのです。

英語のエチケットは身だしなみや礼儀作法を意味しますが、フランス語でエチケットとはラベルや荷札を指します。どうしてこう呼ばれるようになったのでしょうか。これには諸説ありますが、一説には、ワインのラベルのエチケットも礼儀作法を指すエチケットが由来だと言われています。手入れの行き届いた宮廷の庭に、貴族たちが無作法に踏み入って荒らしたり汚したりするので、そうさせないために庭師が立ち入り禁止の立て札を立てたのがはじまりだそう。以来、宮廷に立ち入る際に守るべき礼儀作法を記した札や、貴族たちが宮廷内で守るべき作法をエチケットと呼ぶようになりました。そこには「貼り付ける札」の意味も含まれており、ワインボトルに貼られたラベルもエチケットと呼ばれるようになったようです。

ワインラベルに書かれていること

さて、ワインラベルにはどのようなことが記載されているのでしょうか。ラベルはワインの履歴書のようなものだと表現する人もいますが、基本的には「いつ、どこで、誰が、どのように」ワインを造ったかが書かれています。

具体的には以下のような内容が書かれています。

  • ワインの名称
  • 生産地/国
  • 地区名
  • 生産者名
  • 瓶詰め元
  • ブドウの品種
  • 生産年(ヴィンテージ。ブドウを収穫した年)
  • 容量
  • アルコール度数
  • 格付け など

国によって定めるワイン法が異なるため、これらがすべて記載されているとは限りませんし、容量やアルコール度数は裏のラベル(バックラベル)に表記されていることもあります。すべてを解読するのは難しいと思いますが、おおまかにこれらが記載されていると理解しておけば、そのワインの持つ特徴をつかむことはできます。

ワインラベルの読み方

今や世界中で醸造されているワイン。大きく分けて「新世界」(ニューワールド)と「旧世界」(オールドワールド)という産地に分類されます。正確な定義はありませんが、旧世界は古くから伝統的なワイン造りを行ってきたヨーロッパ諸国(フランスやイタリア、ドイツ、スペインなど)、新世界はワイン造りの歴史が浅い国(チリ、アルゼンチン、アメリカ、オーストラリアなど)を指します。日本も新世界に分類されます。また、大航海時代以降にヨーロッパからワインの醸造方法が広まったヨーロッパ以外の国を新世界と言うこともあります。ここでは、新世界と旧世界に分けてラベルの特徴を紹介していきます。

1.新世界のワインラベル

質の高い優れたワインが増え、世界的にもその地位が高まりつつある新世界のワイン。旧世界のラベルに比べ、初心者でも分かりやすく記載されています。ラベルもポップで現代的なデザインのものが多く、旧世界のラベルに比べると、文字も少なくカジュアルな印象です。新世界は、ヴィンテージや産地表記など国ごとで表記のルールが若干異なりますが、全体としてラベル表示が分かりやすいのが特徴です。

新世界のワインは、単一のブドウ品種で造られていることが多く、ラベルにもブドウ品種が記載されているのが一般的。このようなワインを「ヴァラエタル・ワイン」と呼びます。複数のブドウ品種をブレンドしている場合は、使用比率が高い順に表示することになっていますが、全体量の何%を使用すれば記載するかは国によって決まりが異なります。

2.旧世界のワインラベル

伝統と規制によって細かくラベル表示されている場合が多い旧世界のラベル。旧世界のワインは、原産地の名称がワイン名であることが多いため、ラベルに地名が大きく書かれているのが一般的です。旧世界のラベルを理解するにはある程度のワインの知識が必要だと言うソムリエもいます。なぜ難しいかと言うと、旧世界のワインは、原産地の名称の記載はあっても原料ブドウ品種の表記をしていないラベルが多く存在するからです。ブドウ品種から味をイメージするためには原産地ごとの主な品種を把握しておく必要があるというわけです。

フランスやイタリアなど、ワイン造りの歴史が長く、伝統を重んじる地域では生産地の特性を守るべく、醸造方法やラベル記載に厳しい規定を設けています。例えば、フランスの場合、A.O.C(アペラシオン・ドリジヌ・コントローレ)という法律。フランス国内の優れた農産物や酪農品を国が保証するために与える認証のことを言い、日本語で「原産地統制呼称」「原産地呼称」と訳します。A.O.C.ワインに認定されるには、その規定に従ってブドウを栽培、醸造しなければならず、ブドウの栽培範囲、認定されるブドウ品種、最大収量、最低アルコール度数、醸造法まで決められています。このA.O.C.ワインは、アルザス地方を除いて原則ブドウ品種の記載はありません。そのため、原産地の品種知識がなければどのようなブドウから造られたワインか分からないのです。

知っておくとさらに役立つブドウの品種

旧世界のワインは原産地の品種知識が必要となるケースが多いかもしれませんが、新世界ワインのラベルはブドウの品種が書いてあるものが大半です。品種さえマスターしておけば、味の想像もつきやすいはず。ここでは、品種とその味の特徴を紹介します。

1.赤ワインのブドウ品種

カベルネ・ソーヴィニヨン種

若いうちはタンニンが豊富で、熟成させるとほかにはない優美で複雑な風味を生む高級赤ワインの代表品種。しっかりした酸味もあり、力強く濃厚な味わいになります。旧世界のフランス・ボルドーの5大シャトーもすべてこの品種主体で造られています。

メルロー種

カベルネ・ソーヴィニヨンを凌ぐ勢いの人気品種。冷涼な地域でも栽培しやすく世界で栽培されています。タンニンがきめ細やかで、ふくよかな味わいが特徴です。滑らかな口当たりの親しみやすいワインが多く醸造されています。

ピノ・ノワール種

栽培が難しいといわれる一方で、その土地の個性を表現するのに長けており、生産者が憧れる品種。渋みが少なく、程良い酸味を持ち、果実味豊かで上質な味わいが特徴です。フランス・ブルゴーニュ地方で造られる高級赤ワイン「ロマネ・コンティ」はピノ・ノワールで造られています。

2.白ワインのブドウ品種

シャルドネ種

産地の特性や醸造テクニックを表現しやすく、世界中で人気の高い品種。基本的にしっかりした酸味があり、果実味が豊かですが、産地や気候によってさまざまな味わいや香りになります。フランス・シャンパーニュ地方では、シャルドネ100%の優美な味わいのスパークリングワインが造られています。

ソーヴィニヨン・ブラン種

ハーブや柑橘類のようなイキイキとしたさわやかな香りと果実味が特長の品種。フレッシュな味わいに仕上がります。フランスのロワール地方などが有名ですが、最近は新世界のニュージーランドやチリでも多く栽培されています。

リースリング種

上品な風味とフレッシュな味わいがあり、最も高貴なブドウ品種と例えられることもあります。旧世界のドイツやフランス・アルザスの代表的な品種です。栽培される地域で異なる味や香りを生み出し、辛口タイプから貴腐ワインのような極甘口まで幅広いワインが造られています。

甲州種

世界でも注目されている日本固有の品種です。山梨県を中心に栽培されています。酸味は控えめでスッキリとしたワインが造られますが、最近は程よいコクや苦味が感じられるように仕上げる生産者も増えています。

まとめ

ワインラベルにはたくさんの情報が盛り込まれています。フランス語やイタリア語は分かりにくいかもしれませんが、読み慣れてくると味を解き明かすことができ、仕入れの際にも役立つはずです。ぜひ参考にして、ラベルを意識したワイン選びに挑戦してみてください。