ノンアルコールワインとは?製法の違いを紹介!

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近年、ノンアルコールビールを初めとしたノンアルコール飲料をよく目にするようになりました。コロナ禍での飲酒規制や健康志向の拡大を受けて、ノンアルコールドリンクに対する需要が高まっているのです。現在では8割以上の飲食店でノンアルコールドリンクを提供していると言われています。

そんなノンアルコールドリンクの中でも今回は、近年注目を集める「ノンアルコールワイン」の製法や美味しさの秘密についてご紹介します。お店のノンアルコールドリンクを充実させたい、ノンアルコールワインを導入してみたい、という方はぜひチェックしてください。

ノンアルコールワインとは?

ノンアルコールワインとは、アルコールを全く含まない、またはごく微量しかアルコールを含まないワインのことを指します。いわゆるぶどうジュースとは違い、製造工程の中にで「発酵」の工程が含まれていることが多く、ワインらしい複雑な味わいや香りを楽しむことができます。

ノンアルコールワインが注目されている理由

ところで、どうして今ノンアルコールワインが注目されているのでしょうか。そこには、様々な理由によってお酒を飲まない人が増加していることが関係しています。

これまで、ノンアルコール飲料といえば「お酒が飲めない人が飲むもの」というイメージがありました。しかし近年は、あえてノンアルコールを飲む人が増えています。その理由として以下の要素が挙げられます。

・世界的な健康志向の高まり

1つ目は、世界的に健康志向が広がっていることが挙げられます。カロリーオフ、糖質オフといったヘルシーな食文化が注目を集めるなか、アルコールを積極的に摂取しない層が増加しています。特に若年層にその傾向は強く、厚生労働省の調査(令和元年)によると、飲酒の頻度について「ほとんど飲まない」と答えた人は20代では26.5%、30代では20.3%と他の年代と比べて高い数値となっています(全年齢層の場合15.9%)。

・Sober Curious(ソバーキュリアス)の普及

欧米を中心にSober Curious(ソバーキュリアス)というカルチャーが広がっていることも、一つの要因として考えられます。ソバーキュリアスとは、お酒は飲めるけれどあえて飲まなかったり、少量しか飲まなかったりする文化のことを指します。若い世代のあいだでは、“あえて”お酒を飲まないのがクール、という考え方が広まっています。

・コロナ禍での生活スタイルの変化

最後はなんと言っても新型コロナウィルスの影響です。コロナ禍により外食における飲酒が規制され、アルコールなしでもお酒気分を味わえるノンアルコール飲料の需要が高まりました。アルコールを控える生活が長く続いたことや職場での飲み会が激減したことにより、お酒を飲む習慣そのものがなくなったり、お酒の必要性を感じなくなったりしている消費者が増えてきています。

このような背景により、ノンアルコールドリンクを選ぶ消費者が増えています。もちろん、ソフトドリンクでもそのニーズを満たすことは可能です。しかしそれではドリンクの売上が上がらないだけでなく、「お酒とのペアリング」という観点からフードのオーダーも減ることが考えられ、売上が下がってしまいます。ノンアルコールワインやモクテルをはじめとしたノンアルコールドリンクを充実させることにより、顧客満足度向上・客単価向上・フードとのペアリング、を実現しましょう。

ノンアルコールワインの作り方

では、ノンアルコールワインは、どのようにして作られているのでしょうか。しっかりと理解しておくことで、お客様から質問された際や仕入れの際に役立てることができますので確認しておきましょう。

ノンアルコールワインの作り方は、大きく分けると

  • 通常のワインからアルコールを取り除く方法(脱アルコール製法)
  • アルコールを生成させない方法(非発酵法)

の2つに分けられます。

脱アルコール製法

通常のワインと同じ工程で製造し、後からアルコールを取り除くのが脱アルコール製法です。脱アルコール製法には、以下の3つの方法があります。

(1)減圧蒸留法

圧力を下げ、真空状態にして沸点を下げて蒸留する方法。減圧により温度が低いままでアルコールを分離することができますので、風味を出来るだけ保つことができます。

(2)逆浸透膜法

高圧により半透膜という分子レベルで分解出来る膜を用いて、アルコールと水分を分離・濃縮し、濃縮したものに再び水分を加える方法です。

(3)揮発性物質回収法

遠心力を用いてアルコール分と味・香りの成分を分離させる方法です。まず、味と香り成分をガスに吸着させて回収します。その後、加熱によりアルコール分を取り除き、味と香り成分を戻します。脱アルコール製法の中でも、最も品質を保つことができると言われているのがこの方法で、スピニング・コーン・カラム法(SCC法)とも呼ばれます。

非発酵法

ワインを製造しアルコールを抜く方法とは逆に、最初からアルコールを生成させないのがこの製法です。非発酵法には様々な方法がありますが、代表的には以下の3つの方法があります。

(1)糖分を減らす製法

ワインは、ぶどうの糖分を発酵させることによってアルコールを生成しているので、糖分を減らすことでアルコールが生成されなくなります。

糖分が少ない成熟前のぶどうを使用し「ぶどうの糖分」を減らす方法や、果汁を希釈したり、酵素を加えたりすることで「果汁の糖分」を減らす方法があります。

(2)発酵を途中で止める製法

アルコールの生成中に早い段階で発酵を止めれば、ほとんどアルコールを含まないワインを作ることができます。

ただし、この製法だと、発酵性糖が多分に残ってしまうため、加熱殺菌が必要となり、その過程で香気成分などが失われてしまうこともあります。

(3)アルコールが発生しにくい酵母を使用する製法

アルコール生成が少ない酵母を使って発酵させることにより、アルコールの含有量を減らすことができます。この方法は、甘酒を作るときと同様のものです。

妊娠中や運転中、子どもは飲んで良い? 

ところで、ノンアルコールワインには、「ノンアルコール」という名前がついていますが、妊娠中や運転中に飲むことは問題ないのでしょうか?また、子どもや未成年でも飲んでも大丈夫なのでしょうか?

実はノンアルコールワインにも、完全にアルコールを含まないものもあれば、微量のアルコールが含まれているものもあります。
アルコール分が1%未満であればノンアルコールに区分されるので、ノンアルコールワインといってもアルコール0%とは限らず、アルコールの含有量は種類によって異なるのです。完全にアルコールを含まないものであれば、妊娠中の方やドライバーでも飲むことができます。

しかし、1%未満であっても微量のアルコールを含むものについては、妊娠中や運転中は避けた方が良いといえるでしょう。アルコールが1%未満であっても、多量に飲めば、飲酒運転の基準値に達してしまうこともあります。

また、子どもが飲んでも法律上は問題ではありません。しかし、ノンアルコールワインは20歳以上の成人が飲むことを想定して作っている商品なので、たとえ完全にアルコールを含まないものであっても、未成年にジュースと同じ扱いで飲ませることはお勧めしません。

まとめ

今回は、ノンアルコールワインについてご紹介しました。

ノンアルコール需要に応えることもできますので、お店に取り入れられそうであれば、メニューへの追加もご検討下さい。ノンアルコールワインが飲めるお店はまだ少ないので、お客様がお店を選ぶ際のポイントになるかもしれません。ノンアルコールメニューを充実させることで、魅力的なお店を目指して下さい。