赤・白とならび定番となっているスパークリングワイン。300年以上の歴史を持つシャンパーニュをはじめ、多くの国やワイナリーで醸造され世界中で愛されています。
そんなスパークリングワインにつきまとう問題と言えば、抜栓後の品質維持。
炭酸を含んでいるため長期保存には向かず、何もしなければ短時間で風味もガスも飛んでしまいます。
今回はそんなスパークリングを保存するための新アイテムをご紹介します。
スパークリングワインの保存について
これまでスパークリングワインの保存と言えば、「シャンパンストッパー」が一般的でした。
コルク抜栓後に瓶口に差し込み、空いた瓶に蓋をするアイテムです。
簡単に使えるアイテムではありましたが、言ってしまえば簡易的な「蓋」でしかなく、もって数日。
数日後も「飲める」ものの、風味やガスは開栓直後とは比べ物にならないものでした。
それ以外にも空気の圧をかけられるタイプなどもありましたが、結果はやはり同じ。品質を維持できるほどのものではありませんでした。
炭酸ガスで圧力をかけて風味とガスを閉じ込める
そこで登場したのがペルラージュやコラヴァンスパークリングなどの新しいタイプの保存アイテムです。
原理はどちらも一緒で、「瓶内を炭酸ガスで満たし、圧力をかけ、風味と炭酸を閉じ込める」というもの。
スパークリングワインなどに含まれる炭酸。炭酸のもとは二酸化炭素で化学式ではCO2で表されます。二酸化炭素が水に溶けている状態がシュワシュワと感じるあの炭酸なのです。
この炭酸水、実は非常に反応が進みにくいものでほとんどの炭酸ガスはそのまま水に溶けており、大気に触れるとすぐに分解されてまた二酸化炭素に戻ってしまいます。
その秘密は圧力と温度が関係していて、温度が低く、圧力が高い状態であるほど炭酸ガスが逃げないようになっています。
そこで、瓶内を炭酸ガスで満たして圧力を加えることによって炭酸が抜けない状態を維持しようと考えられたのがこうした商品です。 また炭酸が抜けないだけでなく、酸素にふれなくなりますから酸化も進みにくく、品質維持が可能になるのです。
注意点
ペルラージュやコラヴァンスパークリングはこのように、シャンパーニュなどのスパークリングワインの品質を維持するのに非常に有用なアイテムですが注意点もあります。
それは「圧力の調整が難しい」ということ。
圧力をかけすぎると余計な二酸化炭素まで液体内に溶けてしまい、はじめより強い炭酸になってしまうことがあります。
それもそのはず、こうしたアイテムの原理は、水から炭酸水を作る機械と全く同じなのです。
スパークリングワインの炭酸は、一般的なジュースなどの炭酸とは違い、瓶内二次発酵と呼ばれる瓶内で自然に発生した炭酸です。
そのため、泡が非常に繊細でコーラやサイダーのようにビリビリときつい炭酸になることはありません。
圧力の調整を間違うと、逆に炭酸が強くなってしまいお酒本来のポテンシャルを発揮できなくなることもあります。
ご利用になる前に、いくつかのスパークリングワインでお試しになってから利用されることをおすすめいたします。
保存期間は?
メーカーの公表値では、2週間〜20日間は品質を維持できるとしています。
個人で楽しむ分には上記の数値で考えて問題ないかと思います。
しかし、どんなに工夫してもやはり開栓後のスパークリングは品質が変わりやすく長期保存には向きません。
私たちもたくさんの商品で実験してみましたが5日以上経過すると、もとの味わいからは大きく変化しているように感じました。 お店で提供するのでしたら、長くても1週間ほどで使い切るのが良いかと考えています。
まとめ
今回はスパークリングワインの保存を可能にするアイテムをご紹介いたしました。これまで主流であったシャンパンストッパーに比べると、かなり品質を維持できるようになったと感じています。飲食店を運営する上でも大変役に立つのではないでしょうか。とはいえやはりスパークリングワインの品質は変わりやすいもの。お客様にお出しする前にかならず、しっかりとテイスティングすることを忘れないでください。