甘口白ワインが世界的に有名なドイツワインとは?

お酒の知識

ドイツは世界的に見ても優れた白ワインを数多く生産しています。中でも甘口白ワインのタイプは多彩にそろっており、女性たちに人気。スイーツにも合うとされ、カジュアルな女子会や女性の集まるパーティーなどで提供するのもおすすめです。今回は、ドイツワインについて、その特徴や産地などを紹介します。

ドイツワインとは?歴史と特徴

歴史

歴史を紐解くと、ドイツワインが時代の影響を受け、衰退と復興を繰り返してきたことがよく分かります。ドイツでワイン造りがはじまったのは、紀元前100年ごろ。ライン川やモーゼル川流域の野生のブドウを原料に、ワイン造りが行われるようになったそうです。自生していたブドウは、のちにドイツワインの主要品種となるリースリング種の原種と言われています。1~2世紀になると、本格的なワイン生産が始まり、モーゼル川流域にブドウ畑も登場。3世紀には、「ワイン皇帝」とも呼ばれた第40代ローマ皇帝・プロブスがワイン造りを奨励したことから、モーゼル川からライン川沿いまでブドウ畑が広がりました。ところが、4~6世紀にドイツのワイン文化は衰退します。その理由は、ゲルマン民族大移動。食べ物を求めるゲルマン民族によって畑は荒らされ、さらにゲルマン民族によって西ローマ帝国が崩壊したために、ドイツワインは低迷期に入ります。8世紀にフランク王国のカール大帝が、荒廃したブドウ畑にブドウの樹を植えることを命じ、再びドイツでワイン造りが始まります。12世紀にはオーストリア付近までブドウ畑が広がり、14世紀にはイギリスへワインを輸出するまでに成長。しかし、17世紀前半に勃発した30年戦争によって、畑が荒廃し、再び衰退。18世紀に入ると少しずつワイン造りが復活し、19世紀後半にはドイツで初めてのワイン法が施行されます。20世紀初頭にドイツ高級ワイン生産者連盟が設立され、国も質の高いワイン造りを奨励するようになります。第二次世界大戦後は、経済活動優先で大量生産できる白の甘口ワインが主流でしたが、1980年代以降、品質を重視した若手生産者や醸造家が手掛ける質の高い辛口ワインも増えています。

特徴

北緯50度付近に位置し、ブドウ栽培の北限の地と言われるドイツ。涼しい土地であってもワインに適したブドウ作りを行うため、古くから交配が行われており、ワイン造りに使われるブドウのほとんどが交配品種と言われています。現在栽培されているブドウは、主に白ブドウ品種のリースリングで、生産しているワインも大半が白ワイン。中でも、甘口ワインは世界的によく知られています。冷涼な気候がブドウをゆっくりと成熟させるため、酸味と甘みのバランスが絶妙で、口当たりの良いワインが出来上がります。国外に輸出されるワインの大半は白の甘口ですが、昨今は温暖化の影響もあり辛口白ワインも造りやすくなったと言われ、国内では辛口が多く消費されています。さらに、赤ワイン用品種の作付面積も増えています。

ドイツワインのブドウ品種

ドイツワインのブドウ品種の代表と言えば、白ブドウの「リースリング」ですが、ほかの白ブドウや黒ブドウも栽培されています。ここではドイツワインに使われるブドウ品種を紹介します。

リースリング

白ブドウの品種。世界のリースリングの栽培面積の約6割をドイツが占めています。ドイツ国内でも全ブドウ樹の1/4がリースリング。甘口はもちろん、辛口やスパークリングまでさまざまなワインがリースリングで造られています。

ミュラー・トゥルガウ

白ブドウの品種。白い花やマスカットのような香りが特徴で、その香りを生かしたライトなワインができます。10月に完熟する遅めのリースリングとは異なり、9月には完熟します。

シルヴァーナー

白ブドウの品種。フレッシュな風味が特徴。フランスのアルザス地方でも栽培される品種です。

シュペートブングルダー(ピノ・ノワール)

黒ブドウの品種。最近は辛口赤ワインの生産量増加に伴って、ドイツワインの中でも重要視されている品種です。ワイン関係者の間でも評価が高く、「人気が出て高騰する前にぜひドイツのピノ・ノワールで造られたワインを買うべき」という意見もあるほどです。

ドルンフェルダー

黒ブドウの品種。渋みが少なく、ほんのり甘さを感じられる優しい赤ワインを造ることができます。ここ数年、栽培面積が増えている品種です。

ドイツワインの主な生産地

ドイツワインの生産地は、国の南部と南西部に集中しています。国が定めた「地域指定優良ワイン」を造る13の特定ワイン生産地のうち、主となる8つの生産地を紹介します。

1/モーゼル

モーゼル川とその支流である2つの川の流域に広がるドイツ最古のワイン産地。急斜面に石垣を築いて造ったブドウ畑「テラッセンモーゼル」が有名です。標高が高く冷涼な気候で、完熟や貴腐菌によって糖度が凝縮されたリースリングが生産されています。

2/ラインガウ

ドイツ5大畑のうち4つを有するほか、若手醸造家を育成するガイゼンハイム大学もあり、業界をリードする産地。年間を通じて温暖な気候で、リースリングの栽培面積が国内では最大です。力強さと繊細さを備えたリースリングが栽培されています。

3/ラインヘッセン

栽培総面積が2万6600haのドイツ最大のワイン生産地。なだらかな地形は「千の丘陵地」と呼ばれています。甘口ワインの産地として知られていましたが、最近は若手醸造家の台頭が目覚ましく、ダイナミックかつ高品質なワインの産地になりました。オーガニック農法を採用している生産者も増えています。

4/ナーエ

モーゼル川とライン川の間に位置する一番小さな生産地。以前はミュラー・トゥルガウやドルフェンダーなどの品種が多く栽培されていましたが、現在は伝統回帰が進み、リースリングの生産が主流になっています。土壌の構造が多岐にわたるので、さまざまなニュアンスのある多様なワインが造られています。

5/フランケン

ドイツワインの生産地域の中で最も東に位置する生産地です。長年、辛口の白ワインにこだわって生産しています。フランケン地方のワインと言えば、古代ローマ時代から伝わるずんぐりとした丸くて平らな形のボトルも有名です。

6/ミッテルライン

ナーエの次に小さいワイン産地。険しい岩場の幅の狭い渓谷にブドウ畑があり、風光明媚な南側一帯は2002年にユネスコ世界遺産に登録されています。栽培されているのはほぼリースリングで、土壌の個性が反映されたミネラル豊富なワインが造られています。

7/ファルツ

ドイツで2番目に大きなワイン産地。ドイツ国内で購入されているワインの1/3は、ここファルツ産とも言われています。主となるのはリースリングの栽培ですが、最近は赤ワイン用のドルンフェルダーやシュペートブングルダーも栽培しており、ドイツで一番の赤ワイン生産地となっています。

8/バーデン

ドイツ最南部の産地で、ドイツで3番目に広いブドウ畑の面積を誇ります。南北に細長く、北と南で気候も風土も大きく異なるため、さまざまなブドウ品種が栽培され、造られるワインも白、赤ともに多彩です。

ドイツワインの等級

ドイツのワイン法はEU加盟国の中でも特に細かく定められており、ブドウの熟成度によって品質等級が、テーブルワイン、地酒、上質ワイン、肩書き付きの最上級ワインの4つに分けられます。

プレディカーツヴァイン

最上級の生産地限定肩書き付きのワイン。13の特定生産地域のどこか1つの地域内のブドウを100%使うことが条件です。以前はQ.m.p(クヴァリテーツワイン・ミット・プレディカート)と呼ばれていました。プレディカーツヴァインは、ブドウの糖度でさらに6つに分けられ、糖度の高いものが高ランクとなります。

カビネット

ブドウの果実味を直に感じられ、飲み口がさわやか。6つの中で最も辛口のワイン

シュペートレーゼ

遅摘みのブドウから造られるワイン。甘口から辛口まである

アウスレーゼ

選りすぐった完熟ブドウから造られるワイン。大半が甘口からやや甘口のワイン

ベーレンアウスレーゼ

部分的に貴腐化したブドウの粒を選りすぐったワイン。凝縮されたコクのある甘さ

アイスワイン

外気温で天然凍結したブドウを手作業で収穫。貴腐ワインと並び希少な極甘口のワイン

トロッケンベーレンアウスレーゼ(貴腐ワイン)

貴腐菌が発生する最適な天候状態の年にのみ造られる極甘口のワイン

クーベーアー(QbA)

指定栽培地域上質ワイン。甘口から辛口まで。クヴァリテーツワイン・バシュテムター・アンバウゲビーテの略でQbA。プレディカーツヴァインと同様、特定生産地域のどこか1つの地域内のブドウを100%使うことが大きな条件です。

ラントヴァイン

いわゆる地酒に相当するワイン。ドイツ産の原料ブドウの範囲を狭めることで、地域の特徴を表した辛口、中辛口のワインです。

ドイッチャー・ターフェルヴァイン

日常消費用のテーブルワイン。ドイツ各地から広範に原料ブドウを集めて造られます。甘口から辛口まで。ドイツだけではなくEU内のブドウも原料とした場合は単にターフェルヴァインと呼ばれます。

まとめ

糖度が高いほど高級とされるドイツワイン。日本でも極甘口の白ワインはデザートワインとして支持されており、実際にお店で提供している方もいらっしゃると思います。最近は質の高い辛口の白や赤ワインも増えているので、新たなドイツワインをリストに加えるのもいいかもしれませんね。