【いまさら聞けない】日本酒の新酒とは?

お酒の知識

寒さが厳しい時に入荷する日本酒のボトルには、『新酒』という文字をよく見かけます。
さらには新酒だけではなく『しぼりたて・おりがらみ・あらばしり』という言葉も…
これらはいったいどのようなお酒なのでしょうか?

日本酒における新酒とは

まずは『新酒』から。
文字通り“新しいお酒”という意味なのですが、日本酒における新酒は、大きく分けると2つの意味があります。

①酒造年度

日本酒の世界では、毎年7/1~翌年6/30までの1年間を“酒造年度”(BY)といいます。
BY (ビー・ワイ)とは、“Brewery Year”の略です。例えばボトルに29BYとあれば、平成29年7/1から平成30年6/30の間に造られたお酒となります。
年度内に出荷されたものであれば、すべて新酒にあたります。そのお酒が、次の年の7/1を迎えると古酒扱いとなります。お米が1年を過ぎると古米になるのと同じです。

②新米で造ったお酒

もう一つは「その年の“新米”で造ったお酒」です。
だいたい3月くらいまでに造られるお酒を『新酒』と呼んでいます。
ちなみに、新米自体には「原料玄米が生産された当該年の12月31日までに容器に入れられ、または包装された玄米(精米されていても良い)」という定義があります。

今の時期に届いている新酒は②のことです。
その味わいの特徴は、“華やかでフルーティ・はつらつとした酸味と程よい甘さ”です。
(酒蔵や精米歩合、お米の種類などにもよりますが…)

フルーティで甘さのある味わいは、
『飲みやすくて美味しい』
という声をいただくことが多いです。
日本酒が少し苦手な方、普段はあまり飲まないという方は、ラベルに新酒と書かれているものを選んでみてはいかがでしょうか?

この季節の日本酒のキーワード

日本酒の用語は、そのお酒の状態を表していることが多いです。
“どんな状態で瓶に入れられたのか・入っているのか”というヒントが、銘柄と一緒にラベルに書かれています。

新酒の季節には、よく見かける3つのキーワードがあります。

①しぼりたて

『しぼりたて』とは読んで字のごとし、お酒を搾ってからすぐの状態のことです。

多くの酒蔵で日本酒は冬に造られます。“寒造り”とも呼ばれ、12月から2月頃にかけて行われています。その酒造りの最後の工程が“搾り(上槽)”です。酒税法では“こす”と表現され、どろどろの状態の醪を搾り、日本酒(液体)と酒粕(個体)に分けます。この工程を行った直後のお酒がしぼりたてなのです。

だいたいの場合の日本酒は、出荷前に二度火入れ処理(熱湯に浸すこと)を行うのですが、その火入れを一度もしないお酒を“生酒”と呼びます。『しぼりたて』も生酒のカテゴリーに入りますが、ほとんど貯蔵をせず、冬に出荷するものを『しぼりたて』と呼ぶことが多いようです。(厳密な定義ではないので、酒蔵や出荷時期によって呼び方が変わることもあります)

フレッシュで爽快な味わいが特徴で、お酒によっては微発砲しているタイプもあります。

②おりがらみ

搾ったお酒をろ過する時に、細かい“おり”が残る場合があります。
貯蔵タンクで保存をすることでおりは沈殿し、お酒が透明な澄んだ状態へと変わっていくのです。

『おりがらみ』は、このおりをあえて取り除かずにそのまま出荷するため、うっすらとにごっています。その色から『うすにごり』『かすみ酒』とも呼ばれています。

“おり”には酵母や酒粕が含まれているため、通常のお酒と比べて、お米の旨味やコクのある味を感じられる事が特徴です。『おりがらみ』も基本的には新酒の季節に出荷されます。

③あらばしり

『あらばしり』とは”搾りの工程で自然に抽出された日本酒“のことです。
機械を使わずに、お酒そのものの重みで自然と搾り出されます。『あらばしり』も、冬から早春の時期にしか味わえない特別な生酒です。

あまり圧力をかけずに搾り出される最初の部分なので、こちらにも「おり」が混じりやすくなります。ピリッとしていて濃厚な味わいですが、アルコール度数は比較的に低めです。

また、“酒袋を積み上げていく途中に流れ出て走りだしたお酒”という意味合いから、漢字では『荒走・新走』などとも書かれます。『新走』と書くときには“その年に収穫された新米で造ったお酒のこと”を示すことが多いですが、これにも厳密な定義はありません。

新酒は、『しぼりたて・あらばしり・おりがらみ』の3つの要素を兼ね備えていることが多いです。『しぼりたて』で『おりがらみ』のお酒もありますし、『あらばしり』かつ『おりがらみ』のお酒もあります。もちろん、そのお酒はそれぞれの味わいの特徴を併せ持っています。

濃厚なお料理に新酒の爽快さを合わせると、新たな風味が生まれて味わいに幅がでます。

また、苦味のある野菜料理には、フレッシュな酸味と、おりの旨味にフォーカスすることで、ドレッシングをかけたような”苦甘い余韻”が楽しめます。

今の時期はたくさんの蔵元から新酒が登場しています。
見かけたときには、この季節ならではの味わいをぜひ召し上がってみてください。

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