飲食店営業の要であるお酒。ドリンクメニューの重要性はこれまでもお伝えしてきましたが、皆さんはお店でお酒を適切に保存できていますか。一口にお酒と言ってもその種類は様々。お酒によっては非常にデリケートな物も存在します。風味を損ねず、お客様に美味しいお酒を味わって頂くためにも正しい保存方法を心がけましょう。
保存方法も賞味期限もお酒の種類によって大きく異なります。今回は主要なお酒の保存方法をご紹介します。
生ビール樽の保存
ビールは保管温度が大切です。なるべく暗くて涼しい場所を選び、静かに保存しましょう。樽がサーバーにつながっていないのであれば、冷蔵庫に保存するのがベストです。開栓前の樽であっても、日の当たる場所や温度の高い場所に保存しては、ビールはどんどん劣化してしまいます。開栓の有無に関わらず冷暗所に保存することを心がけてください。
ビールは開栓すると、樽の中に酸素が入ります。そのため長い間放置しておくと、どんどん酸化してしまい風味を損ねてしまいます。温度が低いと酸化遅らせることができるため、低い温度での保管が重要になります。
日本酒の保存
日本酒は非常にデリケートなお酒です。光や温度に弱く、きちんと保存しないとすぐに劣化してしまうため注意が必要です。日本酒は必ず冷蔵庫で保存するように心がけましょう。
日本酒は「温度×日数」でその劣化度合いが計られるといいます。そのため高温の場所で長時間放置している日本酒の劣化度合いは非常に大きくなってしまいます。それでは作り手の表現したかった味と大きくかけ離れたものになってしまい、顧客満足度が低下してしまいます。逆に言えば、できるだけ低い温度で保存することができれば劣化を遅らせることができ、長持ちさせることができます。
ただし、あまりに低い温度だと瓶が割れてしまうことがありますので注意しましょう。
また紫外線に弱いのも日本酒の特徴。紫外線を長期間浴びてしまうと「日光臭」や「日向臭」とよばれる臭いが発生し、味わいを損ねてしまいます。
日本酒は立てて保存!
日本酒はそもそも長期保存を考えて作られていません。そのため、一升瓶の蓋は長期保存に向いていないんです。横置きしてしまうと日本酒が蓋に触れてしまい、そこから風味が劣化、酸化が進んでしまいますので、必ず立てて保存するようにしてください。
ワインの保存
ワインには賞味期限がなく、飲み頃も数年〜数十年と非常に幅広いお酒です。熟成を前提に作られたワインかそうでないワインかによりますが、何十年も保存されることも珍しくありません。しかしどんなワインでも共通して、一定温度、一定湿度で保存しなければなりません。ワインの保存に最適な温度は13〜15度。高温にならない、温度変化が少ない場所に保存しましょう。また、コルクは乾燥に弱く、乾燥するとボトルに酸素が入り酸化してしまいます。70%前後の湿度に保ち保存するのが理想です。とはいえ中々このような条件を満たす場所も多くありませんので、ワインが多い場合にはワインセラーの導入を検討しましょう。
ワインは寝かせて保存!
日本酒とは逆にワインはボトルを寝かせて保管しましょう。これはコルクの乾燥を防ぐためです。 ただし、長期間熟成させるようなワインでない場合は、立てたまま保存しても構いません。スクリューキャップのワインなどは密閉性が高いため立てても問題ないでしょう。
開栓後は早めに飲み切る
ワインは空気触れると劣化が進みます。コラヴァンなどを使用していない限り、開封後は3日程度を目安に飲み切るようにしましょう。
焼酎・ウイスキーなどの蒸留酒の保存
ウイスキーや焼酎などの蒸留酒は、アルコール度数が高いため長期保存がしやすいお酒です。冷蔵庫にいれず常温で保存しても大丈夫です。ただし、コルクで栓がされているものは注意しましょう。コルクの劣化で味が変化してしまったり、匂いが移ってしまったりすることがあります。コルク栓をされているウイスキーは早めに飲み切るか、新しいコルクに交換するよう心がけましょう。
ジン、ウォッカ、ラム、テキーラといったアルコール度数の高いお酒も同様です。
その他のポイント
食材と同じ冷蔵庫での保管は避ける!
とりあえず冷蔵庫に入れておけば、と考えて食材と同じ冷蔵庫で保存するのはできるだけ避けましょう。特に匂いの強い食材と一緒に保管しては、お酒に食材の匂いが移ってしまい本来の味わいを楽しむことができません。また、食材の冷蔵庫は開け閉めが多いため温度変化も激しくなってしまいます。デリケートなお酒は温度変化を嫌いますので、お酒専用の冷蔵庫を用意するよう心がけてください。
光を避けて保存!
お酒によって保存環境は異なれど、多くのお酒は光、特に紫外線に弱いです。室内だからと安心しないでください。実は蛍光灯や白熱電球からも紫外線は発生しています。できるだけ光の当たらない場所に保存するよう心掛けてください。
適切な保存でお酒の劣化を防ごう
今回はお酒の保存方法について紹介しました。普段のお店での保存方法とぜひ比較してみてください。せっかくのお酒も劣化してしまっては顧客満足度が下がってしまいます。逆にウイスキーなどは正しく扱っていれば非常に長い期間保存することができ、希少価値が上がることもあります。正しい保存を心がけ、最高の状態でお客様をおもてなししましょう。保存方法が分からない場合には、ぜひ出入りの酒屋さんに訪ねてみてください。