「お酒」が握る利益率向上の鍵!〜ドリンクとオペレーションを工夫しよう〜

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今、コロナ禍で飲食店が厳しい環境下にある中、どの飲食店経営者の方も利益を増やすために知恵を絞られていることでしょう。SNSを使って集客を図ったり、メニューを工夫したり、いろいろな対策を取られていると思いますが、利益を増やすための基本的な考え方は、次の2点に集約されます。

・売上を伸ばす(来客数を増やす、顧客単価を上げる)

・全体のコストを下げて利益率を上げる

このどちらか一方を進めるのではなく、両方をミックスしてオペレーションするのが常道でしょう。ただ、売上を伸ばすためには、既存の商品やサービスを改善し、来店促進のキャンペーンを工夫する必要があります。しかも、商品・サービスの改善は成果を上げられるまで試行錯誤が必要なのに加えて、そもそも必ず成功するとは限りません。また、キャンペーンも一時的な効果を上げる可能性はありますが、その効果が持続するかどうかは不透明です。

利益率向上のカギはFL比率

ではどうするか。「守りながら攻める」姿勢が求められる現状では、より確実で即効性が見込めるコストダウンによる利益率改善が有効でしょう。 皆さんは「FLコスト」という言葉をご存じでしょうか?これは、原材料費=Foodの“F”と、人件費=Laborの“L”を合計したコストです。この「FLコスト」の売上高に占める割合(FL比率)を低減していくことで自然と店舗全体の利益率は向上します。一般的に飲食店でのFL比率は60%以下に抑えることが必要だとされています。

オススメはオペレーションの改善!

まず“L”(人件費)について考えてみましょう。人件費を削減するといっても、安直にアルバイトの時給を下げるという方法はおすすめしません。それでは人手不足やサービス品質低下を招くことになってしまい、お店の満足度低下につながりかねません。

そこでポイントとなるのが、手際よくドリンクやフードを提供し、「時間のロス=価値を生まない時給」を減らすことです。オペレーションを改善し生産性を向上させることが、結果的に人件費削減につながります。 オペレーションの効率が上げる訳ですから、お客様をお待たせする時間も短縮され、サービス品質向上にもつながります。顧客満足度が向上するため、リピーターの獲得にも期待できるでしょう。また、スタッフ一人ひとりの生産性向上によって、アルバイトスタッフの人数を削減することも可能になります。

お酒で利益率向上!〜利益率を向上させるお酒とその活用法〜

利益率向上のためには“F”、つまり原材料費のコストも同時に下げていく視点が欠かせません。

オペレーション効率を上げつつ全体のコストを下げ、利益率向上を目指すためにポイントとなるのが「お酒」なんです。 それではお酒がどのようにオペレーション効率向上に役立つのか。いくつかポイントをご紹介します。

1 「割るだけ」のコンクを活用する

まずおすすめしたいのが、割材として炭酸で割るだけで提供できる「コンク」を活用する方法です。

コンクとは、サワーやカクテルのもとになる、果実などの風味のついたリキュールのこと。このコンクを炭酸や水で割れば、簡単にサワーやカクテルが作れます。

ドリンクを全て一から準備していては、時間がかかる上に作るスタッフによって味にバラつきが出ます。オペレーション効率が悪いだけでなく、顧客満足度も低下してしまうのです。一方、コンクを活用すればオペレーションが簡単で誰でも同じ味のドリンクを作れて、しかも低コスト。さらにコンクには知名度が高く人気のあるブランドも各種揃っているので、顧客満足度も向上します。 なお、コンクを選ぶ際には、コストパフォーマンスの観点から大容量のものがオススメです。よほど差別化要素の強い自家製リキュールなどでない限り、コンクを使うほうがメリットは大きいかもしれません。

2 サワー、チューハイ、ハイボール…定番商品は樽詰めで

次にオススメなのが、グラスやジョッキに注ぐだけですぐに提供できる樽詰商品の活用です。なにしろ注ぐだけなので、大量の注文にもスピーディーに応えることができます。

さらに原価率を低く抑えられるのも樽詰め商品の特徴。例えば、ある酎ハイブランドの場合、一般的なグラス180mlの原価は約57円。それを300円程度の安価で提供しても、粗利は80%を超えます。

また、樽詰め商品であれば、工夫次第でさらに利益率を上げることも容易です。プレーンな酎ハイやサワーに、果汁やシロップなどを追加すれば、簡単にアレンジドリンクの出来上がり。スタッフに手間をかけず、また原価をほとんど変えることなく、高い利益率の商品提供が可能となります。 オペレーションコストの低減と利益率の向上を同時に実現できるのが樽詰め商品の特徴なのです。

3 ボトルで提供する

ボトルでのドリンク提供もオススメの方法のひとつ。人気のある輸入ビールなどは小瓶でそのままお出しすることが一般的ですが、それ以外のドリンクでもボトルでの提供が店舗にとってメリットとなる商品はたくさんあるのです。例えば、ウイスキーや焼酎などはボトルキープをおすすめして、ボトルと炭酸、そして氷をセットにして提供することで、濃さや飲み方などをお客様ご自身で楽しんでいただけます。さらに、ボトルキープによってリピーター化することも期待できます。

ボトルでの提供は、お店にとっても、スタッフがお客様対応に要する時間が減るので、全体的なオペレーションコストの低減にもつながります。ただ、ボトルでの提供の場合は商品単価が高めになりがちなので、お客様にお得感を感じてもらえるよう、商品やサービスの訴求ポイントはしっかりと工夫して用意しましょう。 また、コロナ禍の影響による感染症対策という観点でも、ボトルでのドリンク提供は注目されています。オペレーションコスト削減だけでなく、感染症対策にも一役買ってくれる方法だと言えるでしょう。ぜひ積極的に導入してみてはいかがでしょうか。

アフターコロナで“倍返し”! 手を打つなら今!

予約サイト「ぐるなび」の調査によれば、お客様が飲食店で感じる不満の第1位は「ドリンクや料理の提供に時間がかかること」です。特にサワーやチューハイ、ハイボールのような定番商品は多くのお客様が注文します。長い時間お待たせすることは、お店にとってもお客様にとっても良い体験とはなりません。

上記1~3のような商品選びと提供方法を工夫することで、コスト削減と利益率向上を実現し、お客様満足度を向上することもできます。

例えば、客単価向上のために「飲み放題」を導入している飲食店は多いと思いますが、「推し」ドリンクをハイボールやサワー類に設定することで原価を抑えられ、「コンク」利用によってスタッフのオペレーションを低減し少ないスタッフ数でも対応可能にすることで利益率を改善することができます。

それによってドリンクの味が統一されて提供がスムーズになり、お客様の体験がよくなるのであれば言うことなしですよね。

コロナ禍であってもできることはあります。もし現状厳しい状態にあったとしても、今できる改善策を打っておけば、状況が良くなった時に売り上げを伸ばすチャンスが広がるでしょう。

むしろ、手を打つなら今なのです。 ぜひ皆さんのお店にあった方法でチャレンジしてみてください。